エージェント登録から3ヶ月で通訳レートを25%アップさせた通訳者Tさんの続き
おはようございます。
"稼げる通訳者"育成コーチの酒井です。
通訳翻訳エージェントのコーディネータとして10年勤めた後、コーチとして独立して「通訳者になりたい!」「それも稼げる通訳者に!」「でも通訳の仕事が来ない!」「スキルはあると思うのに何が足りないの?」という方をメンタルとマーケティングの観点からサポートしています。
このブログではその経験を活かして「稼げる通訳者になりたい!」あなたの役に立つヒントをお届けしています。
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今日のタイトルは「エージェント登録から3ヶ月で通訳レートを25%アップさせた通訳者Tさんの続き」です。
通訳レートに折り合いが付きそうな状況で、さらにTさんに踏み込む私。
「無理にとは言いません、が、そこからさらに2千円、低い単価ではどうですか?」
なぜ、こんなことを言ったか。
信じていただけるかどうかわかりませんが(^_^;)、私はエージェントという立場を利用して通訳者さんに一方的に我慢を強いたり搾取したりするようなことは嫌いです。
そんなことをして数千円の粗利を取っても、通訳者さんのモチベーションは下がって良い仕事をしてもらえませんし、何よりそんな関係は長続きしない、そしてきっと通訳者内で噂になって、他の通訳者さんも私たちの仕事を引き受けてくれなくなることがわかっているからです。
では、この申し出の真意はどこにあるか。
この2千円の差で、仕事の照会数が劇的に変わるから、です。
私が勤めていたエージェントの仕事で一番多い価格帯は●円だとして、その●円でお仕事を引き受けてくれる「すでに付き合いのある」通訳者さんはたくさんいるわけです。
そこに、うちとは取引のないTさんが入ってきた。
"きっと"スキルに問題はない、とはいえ、まだわからない。
そんな状況でコーディネータが、普段お願いしているAさんではなくTさんに発注するには、社内的な立場としても、「わかりやすい理由」があった方が優先的に仕事を出しやすいのです。
そこで、この2千円が効いてきます。
10件依頼すれば2万円の差額になります。
個人通訳者さんとしてはそれなりに大きな差額になってしまいますよね。
それもわかったうえで、あえてお願いしているのです。
この2千円の差額がなければ、Tさんはいわゆる One of them の新規登録者の列に加わって、"偶然"コーディネータの目に付くのを待つことになったと思います。
しかし、通訳レートはどのコーディネータが見ても、一目瞭然で「2千円安い」と目を惹きます。ここにチャンスがあります。
目に付きさえすれば、「この人、新しい人だよね、大丈夫でしょうか」と話題に上がります。ずいぶん短絡的かもしれませんが、小さなUSP(Unique Selling Proposition)と言えるかもしれません。そうなれば、私が「大丈夫だと思うよ、お願いしてみて」とフォローに入れるわけです。
結果、Tさんはこの2千円を納得して受け入れてくれました。
正直、Tさんとしてはこれまでのレートよりも低めだったと思います。
しかし、私もそれを理解している分、価格的なメリットももちろん手伝って、どんどんお仕事を照会することができました。
"Tさん月間"と言えるくらいに笑。
期待通り、Tさんはしっかりと仕事をしてくれました。
言い方は良くないかもしれませんが、エージェントにとって「コストパフォーマンスが良い通訳者さん」になったわけです。
そうなると照会はどんどん増え、実績もどんどん増え、ご指名をいただくクライアントさんも増えてきました。
そんな感じで3ヶ月が経ち、、、互いに信頼関係が築けたと思える頃。
Tさんから、レートに関しての相談をいただきました。
…どうなったかお分かりだと思います。
「2千円を上げましょう」という話ではなく、25%アップ、金額にすると1万円以上のレートアップとなりました。
この時点ではこちらとしても、「この金額でTさんに仕事を依頼できるか」の算段も付いていますし、「ぜひTさんを」というご指名をいただくクライアントもいましたし、コーディネータ内でも認識は広まっています。
その金額であってもお仕事は出せることがわかっていたので、レートアップも受け入れることができました。
私はこのTさんの仕事の入り方、結構理想的じゃないかなと思います。
最初はとにかく「覚えてもらうこと」「仕事が任せられることを証明すること」が、通訳レートよりも重要じゃないかなと思います。
「あなたじゃないと」という仕事がひとつでもふたつでも取れれば、レート調整はかなり有利に進めることができると思います。
もちろん、覚えてもらうのは通訳レートじゃなくてもいいんです。今回はわかりやすかったのでTさんのお話をしてみました。
あなたならどうやって、コーディネータに覚えてもらいますか?
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