【通訳ボランティアの問題点】 通訳ボランティアが通訳業界を苦しめる?
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おはようございます!
"稼げる通訳者"育成コーチの酒井です。
通訳エージェントのコーディネータとして10年勤めた後、コーチとして独立して「通訳者になりたい!」「それも稼げる通訳者に!」「ずっと通訳をやっていきたい」「でも通訳の仕事が来ない・・・」「スキルはあると思うのに何が足りないの?」「長くやっていればそのうち報われるはず」と思っている方を、通訳スクールも通訳エージェントも教えない、メンタルとマーケティングの観点からサポートしています。
このブログではその経験を活かして通訳エージェントの本音、通訳コーディネータの本音をベースに、「稼げる通訳者になりたい!」「ずっと通訳者を続けたい!」あなたの役に立つヒントをお届けしています。
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今日のタイトルは「【通訳ボランティアの問題点】 通訳ボランティアが通訳業界を苦しめる?」です。
ボランティアって、素晴らしいですよね。
無償の奉仕で誰かの役に立ちたい、という気持ちの表れです。
助かっている人もたくさんいると思います。
それを踏まえたうえで、今日は問題提起を。
その素晴らしいボランティア活動も、俯瞰してみるとネガティブな影響が出ているケースがあります。
当然ながら、ビジネスが健全に継続するためには、サービスの提供者が正当な報酬を受け取れることが必要です。それが、ボランティアさんの存在により、報酬が発生しない、発生しても非常に低い、という構造につながっているケース。
以前、医療通訳のプロジェクトにかかわったことがあります。
その際に出てきた課題のひとつが、医療機関における通訳ボランティアさんの存在でした。
医療通訳を目指す方に専門のトレーニングを提供している育成機関とのビジネスだったのですが、その機関が抱えている課題が、卒業生が「仕事を得られない」というものでした。
しっかりとした専門のトレーニングを受けて卒業したのですから、スキルと知識には問題はないはずです。(サービスクオリティに問題はない)
そして、外国人を受けて入れている病院に通訳のニーズがあることもハッキリしていました。(マーケットのニーズはある)
でも、その病院(マーケット)に対して卒業生(求められているサービス)を紹介しても、仕事にならない、、、
なぜか?
その構造の一因が、通訳ボランティアさんの存在でした。
つまり、その病院で外国人を受け入れる場合、通訳ボランティアさんが無償でサポートに入っていたのです。
もちろん本人たちとしては病気や怪我で困っている方の助けになれるということで完全な善意から活動されていますし、本当に素晴らしいと思います。
一方で、無報酬で通訳をしている方がいることで「無料で通訳してくれる方がいるのにどうしてお金を払う必要があるんだ」という土壌が病院側にできてしまい、卒業生の活躍の場が圧迫されている、という状況だったのです。
これは近視眼的(という表現が正しいかわかりませんが)に見れば、助かっている外国人がいて、人を助けることで充実感を得ているボランティアの方がいて、サービスを提供できている病院がいる、という良い状況のようではあるのですが、
もう少し長期的な目で見てみると、業界全体を大きくしていく、発展させていくには、むしろネックになっている状況です。
専門のトレーニングを受けた卒業生たちが報酬を得られなければ、当然ながら医療通訳を志す方は減っていきますし、そうなると「できるときはする、できないときはできない」ボランティアの方に頼る構造になり、本来あるべき恒常的・安定的なサービスの提供が難しくなります。
ここに、構造上の課題があるなと思います。
長くなりそうなので続きはまた書きますね。